保険と自費について

保険治療の限界

世界の最新の水準から遅れをとった医療体制


日本の保険制度とは世界的にもとてもすぐれた制度で、歯科の分野においても、歯の神経を抜く『治療』も、歯を抜く『治療』も、その後入れ歯を作る『治療』も、すべてこの保険内で行うことができました。しかしながら今の時代においては、虫歯や歯周病にならないよう予防することの方が大切になってきました。にもかかわらず、これら予防処置のほとんどに、健康保険を使うことは残念ながらできません。

”日本国民は最低限の生活を営む権利はあっても、最低限度の医療を押しつけられる権利はない”


いまだに歯科保険制度の中心をなすのは、歯を削って詰めること、痛くなったら神経を抜くこと、だめになった歯を抜いて入れ歯を作ることなどの『治療』と呼ばれていることなのです。

しかし、保険制度が悪いという事ではありません。基本的に、国民が皆平等に定めた医療を受ける事ができるという意味では良いシステムと考えます。先進国でも、歯科治療が日本のように保険に組み込まれているところは少ないです。その反面、現代の世界レベルの良いと思われる治療や健康維持(予防治療)は受ける事ができないという問題があります。

保険には定められたルールがあり、それを無視して行う事はできません。一定レベルの治療を提供するという事です。そこには『もっとこうした方がいい』『これ以外の方法が良い』など、我々に裁量がきかないこともあります。

同じ医療でも内科や外科の場合、7~8割の治療が国の保険制度を利用して、治療を行うことができます。しかし歯科医療の場合、ほとんどの治療方法・材料は自費診療のみで可能な制度になってしまっており、保険適用可能な治療は、全体の一部なのです。

そのため、より良い治療を選択する場合には、自費診療の範囲となってしまうのです。

したがって現行保険制度では、優れた治療、希望通りの治療、そして医療者が日々研鑽した良き治療を、すべて保険で提供できるものとは言えない事も理解していただきたいのです。